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一際大きい空間に出た。
進んでいた廊下の倍はある。
窪んだ天井にはシャンデリア。
その周りを美しい絵が彩っていた。
まるで美術館の中にいるような、心に深く何かが染み渡ってくる感覚。
金色の瞳の男はその中心で立ち止まり、空間の真下にある、ボロボロではあるが、豪華な装飾が施された扉にスッと手を向けた。
『ここで待っていてもらう』
金色の瞳の男が扉を押し開け、中にはいるように促したその瞬間。
奥に見えた豪華さに、私は目を丸くした。
家のリビングのおよそ三倍。
その広さに負けない豪華なアンティーク風の家具。
更に奥に何かの扉が見えることから、この広さとまた別の部屋があると推測できた。
これが一室。
普通にここで暮らせる。
頭にその言葉が過り、走った。
『おい、早く入れ』
立ち尽くしていた私の背を押して、金色の瞳の男は私を部屋の中に押しやる。
それにつまづきそうになりながら、私は部屋の中心で足を止めた。
再び確認するように中を見渡してみる。
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