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この城の最上階、
―-王の間。
部屋の奥にある王座、その王座に向けて伸びている紅の絨毯。
あとは何もないその一際広い部屋の中に、2人の男。
紅の絨毯が伸びる先にある王座に腰掛けるのは、金色の瞳の男。
王座のひじ掛けに肘をつき、金色の瞳の男は目の前を見下ろしている。
跪いて座っている、何とも面妖な姿をした男が、金色の瞳の男の目の先にあった。
健康的な色の肌。
茶色い瞳。
スッとした鼻筋。
筋肉質で、鍛え抜かれ引き締まった細い体は、服の上からでも見てとれた。
光りに反射する綺麗な栗色の髪。
異様な程に整った顔立ちでさえ十分に目を引かれるその男は、頭に銀色に輝く狼耳を携えていた。
『どうです?救世主の印象は』
銀色の耳の男が、金色の瞳の男を見上げ言った。
『どうもこうもないぞ、アベル。何だあれは』
金色の瞳の男は、ため息を吐きながら、ひじ掛けに肘をついた腕に身を乗せるようにして頬杖をついた。
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