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アベルと呼ばれた銀色の耳の男がピクッと耳を動かし、金色の瞳の男を食い入るように見据える。
『と、いいますと?』
『鋭い爪もなければ牙もない。魔力さえ感じない。そこら辺にいるメイドの二角人よりも質が悪い』
『…ほう。それは…』
『やはり人間ということだ。役に立ちそうもない』
金色の瞳の男の声に、アベルは考えるような仕草で唸ると、口を開いた。
『だが、救世主であるには違いないのでしょう?』
『そうだが…』
『ここで話し合っていても始まらない。もしかしたら凄い力を秘めているのかもしれないし、』
アベルの声を聞いて、金色の瞳の男は大きくため息をつく。
『そうだな…』
『信じるしかないでしょう』
そう言ってアベルは金色の瞳の男に微笑みかけ、高い天井を見上げた。
『何してる、カイン』
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