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ヒョコヒョコと、踊るように揺れる尻尾を見ていると自然に顔がほころぶ。
その余りにも人間離れした姿を見せられるとさっきまでの話が本当だと思い知らされた。
「取り敢えず、この事は皆には内緒で……」
「ううん。私が此処まで来る間、耳と尻尾を隠してきてないんだよ?それなのに誰も何も言ってこない、それどころか………」
理沙は狐耳をピョコっと動かして続けた。
「私以外の皆も獣に成ってたの!!」
は?え、ホワーイ。何故?
いや待て待てウェーイト!
「ちょっと待て、え?皆が獣に成ってた?ドウイウコト?」
「そのままの意味だってばぁー」
いやでも僕は獣に成ってなくて、でも理沙は成っていて、それで皆も成っていた。
「ね、ねぇ理沙?僕におかしな所ある?」
理沙は神妙に僕を見て、言い放った。
「うん、犬みたいだね。可愛いくて羨ましいなぁ」
この一言により、僕の平凡な人生が音を立てて崩れさったのだった……………
始まりの章、完。
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