1人が本棚に入れています
本棚に追加
長い長い長距離ドライブは終わりを告げる。
都心を出るときはすれ違ったり、追い越していく車が多かったのだが県を跨ぎ町を抜け山へ向かうに連れて車は減っていく。
そして軽井沢を過ぎたあたりからは県道を走る車は俺達の乗るバン1台だけになっていた。
「なぁ。こんな時間に宿やってんのかよ」
「大丈夫だろ。 一応、前もって遅くなるのは伝えてあるから」
「ふぅ~ん」
ちなみに俺達は中高とつるんでいた仲良しグループ
高校卒業後はそれぞれ進学と就職に分かれてしまったけど、お盆と言うこともあって久しぶりに4人集まって旅行に来た。
前日の夕方に集まって、レンタルした車に旅行グッズを乗せて出てきたのは夜だった。
あれからずっと俺が車を運転して、時折コンビニやドライブインに寄って休憩を挟みながらこっちに着いたのは午前0時を回っていた。
「おい。あれ」
助手席に乗る友人「熊沢幸樹」が指を差す先に、国交省の蒼看板に白地で「篠ヶ月村」の看板がうっそうと生い茂る林の中に見えた。
看板の少し先に明かりの漏れる家が1軒見えた。
「もう衝くな。 鳥島と氏家起こしてくれ」
「あいよ」
鳥島と氏家も同じく友人「鳥島涼」と「氏家一三」
氏家は女の子と言うより女性と表現したほうがしっくり来る
今更だが、俺は「寺川弥」
俺たち仲良し4人組はこの後のことなんて遊んだりする事ぐらいしか考えていなかった。
悲劇が起ころうなんて微塵も頭に無かった。
最初のコメントを投稿しよう!