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街灯の無い田舎の道は真っ暗。
俺を追ってくるやつが居るのは確かだが、姿が見えない。
姿が見えれば張った倒す事も可能だが、さすがにこうも見えないとなると無理な話だ。
「ハァ…ハァ…」
舗装されて無い道は大小さまざまな石が転がって走りづらく、気を抜いたらけっ躓いてその場に倒れてしまうだろう。
俺を照らす月明かりが陰を長く地面に伸ばす。
「くそっ! どこまで行けばいいんだ!!」
走っても、走っても姿の見えない人物は追い駆けてくる。
むしろ、俺を見る視線の数が増えたようにすら感じる。
「……」
「……」
古い家屋の立ち並ぶいったいを走り抜けるときに複数の視線と聞き取ることが出来なかったが、誰かが喋っていた。
軒先の陰から人が出てきたら俺はどうなってしまうのだろう…。
もう、冷静に頭が働かない。
「ハァ…ハァ…」
立ち並ぶ家屋を過ぎると、派出所の赤いランプが見えてくる。
良くあるパターンだと大体人が居ない。
そして、鍵が閉まっていて…追いつかれるのだが
藁にもすがる思いで硬く閉められたその扉を力いっぱい叩いた。
「助けてくれ!!」
バンバンッ!
と、懇親の力を込めて叩くも応答どころか人の気配すら感じない。
「頼む!! 誰か出てくれ!!」
本来であればこんな事をしていないでどこかへ走らなければ追いつかれてしまうのだが、やはり冷静ではない。
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