1人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前に立つ青年は村の人間なのかどうなのかわからない。
でも、タバコが吸いたい。
「…すいません」
と、軽く頭を下げてから口に咥えたタバコをライターへ近づける。
ライターの火の明かりに照らし出された青年はさわやかな笑顔を変えることなくタバコに火をつけさせてくれると
すぐに火を消して訳のわからないことを言い出す。
「今夜は前夜祭なのですよ。 ところでそれが最後に口にするものでよかったですか? まぁ、嫌だと言ってもどうしようもないんですけどね」
さわやかな笑顔の青年が再びタバコを咥え、煙を口いっぱいに含むとその煙を俺の顔へ吹きかけてきた。
「あーあ。 もう少し粘ってくださいよ。 あなたはココで死ぬのですから」
と、最後にさわやかな笑顔をすると砂利道をかける音が近づいてくる。
「ゴホッ! っけんな!」
「残念です」
そう言うと青年は目を閉じた。
ブズッ!
「!?」
何か先の尖ったものを背中側から差された感覚が体全体を走った。
どうやらどこかに隠れていた村人によって刺されてしまったらしい…。
「くっそ…」
最後に触ったのは足元に広がる砂利道だった。
「ソレは森の中にでも隠しておきましょう。 穴を掘るのですよ? それもなるべく深く。 見つかっては厄介ですからね」
最初のコメントを投稿しよう!