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俺は震えていた。
これが恐怖からかなのか驚きからかなのかは分からないが
ガタガタという音で表現されるのが本当に正しいと思えるぐらい震えていた。
「何でこんなことするんだよ…!?」
目の前にいる女の長い黒髪の間から覗かせる唇が俺のこの言葉を聞いてニターとした。
そして少しずつ俺の方に近づいてくる。
俺はその動きに合わせて後退りをしていこうとした。
しかし俺の後ろに広がるのは下の見えない崖。
それに気づき慌てて少し前に出る。
その慌てている俺のことを見て楽しんでいるのか
目の前の女はニヤニヤしている。
「やめろ……来るな…来ないでくれ!!」
俺は情けない声で叫んでいた。
普段の俺なら絶対に出さない声がこの場で響く。
その瞬間目の前の女の動きが止まる。
そしてようやく口を開いた。
「また私を拒絶するの?」
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