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今から引き返しても遅くないよな。
そんなことを考えていると背中に痛みが走った。
痛みのした方を見ると徳が思いっきり叩いたのだと分かった。
いや見なくても分かる。俺の背中をこんな強さで叩くのはこいつぐらいだ。
「亨(あきら)聞いてんのか?」
「あぁ聞いてる」
実際は聞いてはいなかったが適当に答える。
それに嘘をつけと徳が背中を叩いてきた。
「ほんとこの季節になるといつもこんな調子だよね」
徳の隣からひょいっと顔をだし明日香が言ってくる。
「いや暑さにやられてるんだよ。毎年」
「いつもそれ言うよね」
はははといつものように徳が笑いだす。
「うるせぇな。てか徳、坊主って暑くないの?」
「髪伸ばしてる方が暑いだろ」
徳は自分の頭を撫でながら笑う。
「それに走るとき邪魔だし」
「陸上部キャプテンは本当にようやるな」
徳は中学から陸上初めて今では100mの種目で県大会を優勝するくらいの実力を持っている。
さらに仲間からの信頼も厚く今年から陸上部のキャプテンに就任したのだ。
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