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自動販売機の前でなにを買うか悩んでいると柊が後ろから来た。彼女も買うのだろうと思い、先に買わせてあげようと自動販売機から少し離れた。レディーファーストというやつだ。
しかし、彼女は僕を見ているだけで一歩も動こうとしなかった。だから言った。なぜ来た、と。すると彼女はこう言った。
「当たり、くる予感。言うやつ、押せ」
……この野郎、何が当たり、くる予感だ。どうせハズレでもガッカリすれば自分のぶんも買ってもらえるとでも考えているのだろう。
だが、甘い。僕はそんなに甘くない。ましてやお前のように眼下から偉そうに命令する奴に僕が甘やかすとでも思っているのか。甘く見られたものだ。
……甘い話になってしまった。水でも買うか。
「水、まだ先。ブラックコーヒー、買え」
はい?先ってなんだ!コーヒーが飲みたいならそう言えばいいじゃないか。…って、甘やかしてしまうところだった。こういうタイプは甘やかすとつけあがる。無視無視。
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