《焔》

6/23
前へ
/208ページ
次へ
・  負けを認めた教師になおも食ってかかろうとした内藤少年は、廊下中に響き渡るその呼び声にチッと舌打ちした。 「ちょっと何その手! 信じらんない……竹刀握れなくなりますよ? 先生、俺が保健室に連れて行きますからあとはご心配なく」  つぶらな瞳をくるりとさせて、その少年は微笑みながら言った。 「あ、ああ。よく手当てしてやってくれ……」  その華奢(きゃしゃ)な少年の登場に救われた教師は、バツ悪そうに笑いながらそそくさとその場を離れた。 .
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加