宵待ち月

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・ 「クッ…アハハハ……さすが言ってくれるぜ。てぇことは、オメェは俺をそんなふうに見てるってわけだな?」  男はさも愉快げに笑って、空になった猪口を女に差し向けた。 「いやだ、それはあくまで一般論よ。貴方は鬼なんかとは違うわ」 「鬼でなけりゃあなんだってんだ? この両の手を血に染めた俺は一体何なのか聞きてぇもんだな」 「困ったお人ねぇ……まるで鬼にでもなりたいって言いぶりじゃないですか」 ・
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