4人が本棚に入れています
本棚に追加
「……な!?今のは?」
突如意識が覚める。
片付いたトイレ。
歪んだ扉。
先程の猛禽類を思わせるかのような男の瞳。
男と交わした言葉を思い返す。
「名前?命?一体……私は」
「思い出して頂けましたか?」
幼い自分が冒した大きな過ちを。
「貴女様は先程、私のことを知らないと仰いましたね?それは契約の破棄に当たります。よって、貴女様の命は只今より私のものとなりました!」
「えっ!!そ、そんな!」
「なお例外は有りません!それでは契約を破棄した裏切り者、セヤマコト様。裏切りの代償として命じます」
男は立ち上がり、真琴の顎を掴むと目を合わせるために上へと向けさせる。
歓喜に満ちた笑顔は、鋸のように鋭い歯がギラリと光って今にも口が裂けそうだ。
目の前にいる男が人間ではないことが、真琴にも容易に理解出来た。
今起きている出来事が至極危険なことも。
男がゆっくりと、まるで悪魔のような声を発した。
「私の僕となりなさい」
最初のコメントを投稿しよう!