角度

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「……な!?今のは?」 突如意識が覚める。 片付いたトイレ。 歪んだ扉。 先程の猛禽類を思わせるかのような男の瞳。 男と交わした言葉を思い返す。 「名前?命?一体……私は」 「思い出して頂けましたか?」 幼い自分が冒した大きな過ちを。 「貴女様は先程、私のことを知らないと仰いましたね?それは契約の破棄に当たります。よって、貴女様の命は只今より私のものとなりました!」 「えっ!!そ、そんな!」 「なお例外は有りません!それでは契約を破棄した裏切り者、セヤマコト様。裏切りの代償として命じます」 男は立ち上がり、真琴の顎を掴むと目を合わせるために上へと向けさせる。 歓喜に満ちた笑顔は、鋸のように鋭い歯がギラリと光って今にも口が裂けそうだ。 目の前にいる男が人間ではないことが、真琴にも容易に理解出来た。 今起きている出来事が至極危険なことも。 男がゆっくりと、まるで悪魔のような声を発した。 「私の僕となりなさい」
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