角度

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「おー真琴。遅かったね。お通じが良くないのかい?って……どこいくのさ!?」 「ごめん帰る!」 凄まじい形相で凪紗の横を駆け抜けて本屋を飛び出す真琴。 呆気にとられ、凪紗は思わず手に持っていた本を床に落としてしまった。 「な、何かあったの……?」 背後から床を叩く革靴の音が響く。 凪紗が振り返ると、長身の男が立っていた。 「全く、何処へ逃げようと無駄だと言うのに」 人としての感情が欠落したかのような瞳。 言葉を発する度に覗く、鋸のような歯。 右手に握られた白い女性用のパンツ。 (パンツ!?) 男は店内で恥ずかしげもなく、不敵な笑みでパンツを鷲掴みしていた。 「少しは楽しませて下さい、マコト様」 (何でこの人パンツ持って堂々としてるの!?) 「ん?真琴?」 この変態は確かにマコトと言った。 もしや真琴が焦って店を出たのと関係があるのかと考えて、凪紗は事情を聞こうと男に近付いた。 しかし、男は既に姿がない。 「え!さっきまでここに……?」 そこにあるのは、凪紗が落とした本だけだった。
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