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2010年11月4日
(またこの夢か……)
布団の中で、今日は誕生日なのにと悪態を付く少女、瀬谷真琴は連日に続く夢に悩まされていた。
それは恐らく、幼い頃の記憶だろう。
当時まだ小学生にもならない真琴は、自宅付近にて形の良い小石を拾っていた。
しかしふと気付くと辺りは暗く、人の気配一つ感じられなくなってしまったのだ。
真琴はただ泣きながら、その暗闇を闇雲に歩き回った。
やがて激しいノイズのようなものを感じて、目が覚める。
(最近になって頻繁になってきたなぁ)
もそもそと布団から這い出ると、水色のパジャマを羽織ったまま自室を出る。
当時の記憶はかなり曖昧なものだ。
なんせもう10年近くは経っている。
あれからどうやって家に帰ったかすら、思い出せなかった。
(まぁどうでもいいや)
真っ直ぐ洗面所に向かい、顔を洗う。
今日は日曜日。
友人と一緒に、本屋へ行く約束をしていた。
(新刊まだ在庫あるといいな……)
一瞬、胸にざわつきを感じた。
しかしまだ睡魔が残る真琴は、それに対して深く考えることはなかった。
そう、この時点で気が付くべきだったのだ。
今日が、何日だったのかを。
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