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─―四月―─
『ここか。』
ある屋敷の前に少年が立っていた。風貌は古く寂れツルがまとわりつき、雑草が生い茂っている。
屋敷の周りには、人の気配が全くしない廃墟が並んでいた。
その少年の髪は黒く、光を失ったかのような灰色の瞳は虚しく廃墟を見ていた。
『もう来ないと思ってた。』
少年は親戚と住んでいたのだが、ある事情でここ〔晴鹿市〕へと引っ越すことになった。
『眠い。』
少年はすぐに2階へ行き正面にあった部屋へ入る。
そして疲れが溜まった身体を重力にまかせ、倒れ込むようにベッドへと寝転ぶ。
するとすぐに寝息をたてて寝てしまった。
翌日少年は昼過ぎに起き荷物を整理すると昼食をとり、テレビを見て夜になると夜食を食べた後風呂に入りすぐに寝た。
*
「そっち行ったぞ」
街灯も何も無い夜の闇の中、月光に照らされ通信機らしき物を持つ茶髪の少年がいた。
「わかったわ」
黒髪の少女は前から来る、鎧を纏った4メートルはある犬を目視すると、右手を前に向けた。
その右手には黄色い宝石のブレスレットがついている。
「召喚!」
ブレスレットの宝石が砕け、1メートルくらいの黒猫が現れた。
「サンダー!」
にゃー!
黒猫が叫ぶと同時に雷が発生し、前から来るものに向かって行く。雷光が音をひびかせ、闇を照らした。
ガアァァー……
雷が当たると犬の鎧は弾け飛び犬は縮んでいき、子犬になった。
「リコール」
そう言うと黒猫は光となって消え、ブレスレットの宝石に戻った。
*
翌朝、少年は転校先の冬期の青いブレザーの制服に着替えた。
そして朝食を食べ、学校へ行く。
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