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「…琉依先輩。 恋してないでしょ?」 飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。 「その反応…はぁ…」 後輩の子に心配されて、その上溜め息まで吐かれる私って世間から見たらだいぶ虚しい奴だなとつくづく身に染みて感じるようになってきた。 「いいですか先輩。 女はいつでもどんな時でも恋をしないと駄目なんです。 ほら、そうすれば私みたいに潤いのあるお肌にだって直ぐなりますし」 「それは若いからだよ」と言ってあげたかったけど、「それは言い訳です」って指摘されそうだったから何も言わなかった。 「そうは言っても、相手がいないんだから……しょうがなくない?」 「何甘ったるいこと言ってるんですか! 来るのを待ってるだけじゃ無理に決まってますよ。 自分から探しに行くんです」 休憩室でのこの会話は私達の習慣になっていた。 数少ない憩いの時間が毎度毎度説教される日々に最近は慣れてもきている。
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