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「いいよ。お安い御用だ」
若い職員は肩から力を抜き息を吐いた。
薄い照明の下でもわかる少年の恥ずかしそうな顔を見て安堵の笑みを浮かべる。
そうしてしみじみと嬉々として待つ彼に能力が無いことを実感する。
『普通』はあれを、見たがる者がいるからだ。
そして完全に絶望するのだ。
未来を知らない子供が、きらめく星空を覗いて感嘆の声をしきりにあげている。
若者はそんな彼を羨ましく、また同時に哀れに感じて目を逸らした。
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