■教育■

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翌朝、まだ昨夜の感動と緊張からなかなか寝付けず、ようやく明け方になって寝ていたイリューンを、インブレイスが起こしに来た。 「食堂には来ていないという報告を受けましたので、食事を持って来ました。直ぐに支度をしてテーブルに来なさい」 寝室で、まだ寝ぼけ眼のイリューンを見下ろし容赦なく命令をしてから、インブレイスは隣室に戻ってテーブルに持ってきた食事を置き、待っている間にとスケジュールの確認をし始めた。 (僕、嫌われてる?それとも子供嫌いな人なのかな) 冷たい水をかけられたような気分で目を覚ましたイリューンが、慌てて顔を洗いに行くと、いつの間にか洗面所脇に指示が書いて置いてある服を見つけて着た。 昨日突然来たというのに、昨夜のうちに用意してくれたというのか。清潔感のある子供用のシャツとスラックスは、サイズがぴったりだった。 つい彼女の顔色を伺いながら、テーブル横の椅子に腰掛ける。 「……あの」 「予定よりも2時間も遅れてしまいました。急いで食事を済ませなさい」 こちらを見ようともしないインブレイスを上目遣いに見て話し掛けようとするが、降ってきた命令に身を縮める。 じろじろと周囲から見られていても、昨夜の食事はまだ味がした。焦りでろくに味わうこともできず、イリューンは急いで朝食を飲み込んだ。 (笑ったら……写真のお母さんに似てるかもって思ったけど……) (笑顔なんて想像できないな) イリューンは心の中に落胆のため息を吐いた。
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