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「ち、知識を受ける、受けないは、最終的にはあなたの意思です。しかし“終わりの時”が来た時、必要になるだろうと」
いくら予知ができたとしても、この能力が生きる上での『危険回避』の為の力である以上……自分が生きるこの世界が終わった後のことなどわかるはずがない。
しかしどんな状態に彼がおかれようとも、知識は必要になるはずだ。インブレイスは眉目をきつく引き締めた。
「“終わりの時”って、どんな風になるの?」
「それは・・・」
誰もが知っていることを、説明する
のは難しい。戸惑いが声を弱々しくしてしまう。
「詳しい状況までは私達には視えないのです。ただ白い光に包まれて終わるということしか」
「白い光?」
「…その正体は…想像を絶っする速度で到来する巨大な彗星だと言われています」
それは未だ遠く、ここの特殊な装置を使ってもおぼろげにしか知ることはできない。
感覚でさえ感じ取れないイリューンでは、インブレイスの説明はひどく曖昧で夢よりも遠く、正体のない物に思えた。
そんな不確かなもののせいで…
「どうして滅ばなきゃならないの」
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