港区

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「今日急に立ち会い入ってなぁ!で、気ぃつけてほしーんやけど!」 「与信ですか?」 「おお!そうやねん!勉強してんな、さすが次期社長や!帝国データバンクにものってなくてな。悪いけど前金で頼むわぁ~。」 村上君に渡されたカラフルな名刺には、マンションの一室が住所として印刷されてた。 ちっさい広告代理店とかデザイン事務所は、簡単に自己破産したりしよるから取り引きは気をつけんとアカンねん。 親父のコネでこの会社に勤めて5年目やし、こんなんフツーの知識やけどな。 若いつもりやったけど、暗い話ばっかりやたら詳しくなってもーたわ。 そろそろ親父の会社に転職する頃合やろか。 「この安田ってデザイナーからデータと色校正もらってクライアントんとこ行ってくれ。俺から連絡入れとくから!この案件、安田を通して欲しいゆーんが向こうの希望やからしゃーないねん。頼むわ~。」 「何て読むんすか?アキヒロ?」 「知らん!トンチキな格好したチンパンジーみたいやヤツや!」 『ゴリラに言われたないやろな、安田も』 とは口が裂けても言われへんかった(笑)。
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