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昼過ぎに会社に戻ると、雫がリサと待っていた。
「好人っ、お疲れ!」
「さまをつけろ、さまを」
雫の笑顔に、照れ隠しで言った。
「悪いな、リサ。任せっきりで」
頭、上がらねぇや。
「あら、こんな事は私の中では毎回やってる事よ。気にしないで」
リサは雫と目を合わせて笑い合う。
何ヵ月も前は、リサは俺の自慢の彼女だった。
そんなリサにフラれた俺。
その俺は雫を新しい彼女にした。
そして、俺たち二人のためにリサは何事もなかったかのように世話をやいてくれている。
「なぁ、またみんなで昼飯、行かね?」
「残念、もう私も雫ちゃんも食べ終わったのよ」
「マジかぁ」
優司もリサと目を合わせて笑い合う。
苦手な奴は、自分にどっか似てるから、接するまでは疑り深くなってしまうんだろうな。
結局、仲良くなりゃ似た者同士と判明するわけだ。
「リサさんがね、お弁当作ってきてくれたんだよ」
「そうか、よかったな」
雫…。
俺は、おまえが毎日そうやって楽しく笑っていられるのを、いつも見守っていてやるからな。
だから、何も心配するな。
どんな事があっても、俺はおまえの側から離れない。
絶対だ。
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