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上から順に葉を落としながらハサミで剪定をする。
そして、夕日に照らされた青々とした黒松が現れる。
「キレイ…」
雫は見上げて、声を出した。
「病気になってないか、様子をみながら手間をかけて手入れして、さっぱりさせてやる。いい仕事してんだろ?俺」
「うん、好人カッコいいね☆」
当たり前だ。
松並木さんは、雫にお菓子をくれた。
「女の子なのに。頑張るんだよ」
「はい。私、頑張ります!」
後片付けをして、雫と帰る。
会社に戻ると、リサが迎えに来てくれた。
雫の髪に付いた松の葉を取りながら、
「お疲れ様、雫ちゃん」
「リサさん、お菓子ゲットした」
「よかったわね」
雫は嬉しそうだった。
リサは俺と目を合わせて安心した様子で笑うから、俺は雫を見つめた。
その夜はさすがに雫は疲れて、いびきをかいて、ヨダレまで垂らして眠ってしまった。
ヨダレを拭き取り、雫の寝顔を見つめる。
今日はよく頑張ったな。
俺はおまえが大好きだよ。
静かにキスをして、俺も眠りについた。
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