⑯私、とっても楽しいよ

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雫、おまえのためにみんなが毎日を楽しくしてくれてるんだぞ。 明日には忘れてもいい。 でも、今だけは思いっきり感謝しなきゃいけないぞ。 すき焼きを食べ終えて、しばらくしてリサがリンゴを剥いてくれて食べる。 「ねぇねぇ、こんなの持ってきたんだけどやらねぇか?」 優司は明らかに女の裸の付いたトランプを見せつけた。 「前田くんって、気が利くのか無神経なのか難しい人ね」 リサは受け取り、トランプを切る。 優司。 おまえは俺がこぼしてた事、覚えていてくれてたんだな。 「何する?ババ抜きする?」 「いいねぇ…おしゃ!やるか」 「俺は雫と組むわ」 四人で何度も何度もババ抜きを繰り返した。 雫はすぐに顔に出すから、容赦なく俺と雫チームは惨敗しまくった。 「チェッ、チクショ!チェッ、チクショ!」 雫は笑い転げて負ける度に言う。 「なんだよ、それ」 優司が聞くから、俺は答えた。 「俺の口癖マネしてたら、雫の口癖になっちまったんだよ」 「永居くん、口が悪いから本当に気を付けなさいよ」 「ウケるぜ、おまえら」 優司はバカウケした。 しばらくして、仕事の真面目な話になる頃には、雫は眠そうな顔をしていたので、風呂に行かせた。 雫のシャワーの音が聞こえ始めると優司は語り出した。 「今朝、行ってきた…」 「あぁ、親戚とやらはどんな奴だったんだ?」 実は、今日の午前中に優司とリサは雫の叔父に会って来ていたのだ。 「正直な、俺はおまえにどこまで話したらいいか分からないくらいなんだよ…」 優司は顔を手で覆って、さっきよりも低いテンションで言う。 「えっ?」 俺はリサを見ると、リサの表情も暗くなっていた。 「何なんだよ、二人で行って丸め込まれたってか?」 俺は鼻で笑った。
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