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「ねぇ、好人っ☆今日は、私とっても楽しいよ」
雫は言った。
優司もリサも嬉しそうな表情をしていた。
俺は雫の言葉に、見境いも付かずに抱き締めた。
「えっ、好人?」
「そっか、楽しいか…」
優司もリサも帰って、雫を先にベッドへ寝かせて、一息俺はベランダでタバコを吸う。
バカヤローだよ俺は。
あの時の自分の性欲に、登り詰めていたとは言え、あまりに無理矢理に雫を押さえ込み過ぎて、今になり後悔した。
アイツ、怖がって嫌がってたのに。
みっともない。
あれじゃ、まさしくレイプだ。
犯罪者だよ、犯罪者。
ごめんな、雫。
今日また、おまえの話を聞いて、俺はまたおまえが好きになった。
今まで色々、あったんだろうけど。
おまえは、今も何も知らないでいい。
どんどん忘れていけ。
俺がきちんと覚えとくから。
ただ、毎日いつも一緒に居る俺の存在は忘れないでくれよ。
タバコを消して、部屋に入る。
「……よひと……お肉たべる……」
雫の寝言か。
「まだ、おまえは食べるのか?」
柔らかな髪を撫でて、俺は雫の寝顔に安らぎを感じた。
電気を消して、ベッドに横になる。
……好きな人と永く居られる……
雫をもう一度見て、キスをした。
俺の名前を、そんなふうに気が付いて言うのは、おまえだけだよ。
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