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実は雫の携帯電話は、親戚のおじさんの話では、今月で使えなくなる。
戸籍は一先ず、月読のばあさんの養女になっているのだか、相続だとかからは一切外れている。
俺は平日に休みを取り、雫と役所へ住民票を貰いついでに、住所変更の手続きをしに行った。
その帰りに、携帯電話を解約させて新たに俺が契約した携帯電話を持たせた。
「ネットはできねぇぞ、俺への電話とメールしかできない。分かったか?」
「えへへ☆」
俺だけの番号で、充分だ。
出会い系なんて、やられたら困るからな。
あっ、でも一応会社と優司とリサの番号は登録しとくかな。
「毎日一緒に居ても、おまえは約束はすぐ忘れちゃうだろ、だからメールでちくいち証拠残しといてやるからな。それに仕事してる以上はやっぱり持ってないと不便だからな」
「好人といつでも、もしもし今何してるぅ?だね☆」
「電話して、誰?って言ったら許さんぞ」
「言わないよぉーだ」
車で駅前を通る。
そう言えば…。
シルバーのアクセサリー専門店。
「ちょっと寄り道」
俺はやっぱり気になって、戻る。
駐車場に止めて、俺は雫を助手席から下ろす。
「よっこらしょ」
そして、手を繋いで店に入る。
案内表を見ると三階か。
ここか。
『オープン記念サービス。無料でお好きなメッセージ入れられます!』
会社のアイツ。
何だよ、名前に誕生日って無料だったから入れて貰っただけじゃん。
だっせーな。
雫と店内をうろつくと、すぐさま店員が寄って来た。
「彼女さんにプレゼントですか?」
「まぁ、そんなとこだな。ちょっと選ばせてもらうわ」
俺は雫の手を引っ張り選ばせる。
「あっ!……あっ!……あれ!」
雫は完全に目移りばかりして落ち着きがない。
「おまえは、どんな形が好きなんだ?」
「えっとね、えっとね……う~んとね、う~んとね……何だか分かんないけどね~……」
久しぶりに故障してるわ、こいつ。
「ごっついのは高いから予算オーバーだから選ぶなよ」
「好人、買ってくれるの?」
「そうだけど」
おい、今さら気が付くとは。
「じゃあね、ハートがいいな☆」
俺は店員を呼ぶ。
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