⑱私、ラブラブ

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家に帰ると、いつもなら玄関まですっ飛んで来る雫は、今日は来ない。 何だよ、お出迎えはもう無しか。 「ただいま」 部屋を覗くと雫はノートに何かを熱心に書いている。 「何やってんだ?」 「はぁう!好人だ。おかえりなさい!」 雫は慌ててノートを閉じた。 「何か隠したろ?」 「隠してないよ、えへへ☆」 「ふぅ~ん…」 俺はとりあえず無視してシャワーをいつも通り浴びる。 アイツ、俺に隠し事するなんて絶対許さないからな。 アイツが記憶力悪い分、俺がアイツの全部を把握しとかなきゃならないんだから。 しかし、雫は食事の時もテレビを見てる時も、話をしてる時も、とにかく寝るまでずっと俺の顔を不自然なくらい、見つめる。 「バカ、見すぎだろ。さっきからキモチ悪りぃな」 「えへへ☆」 「えへへじゃねぇ。ふざけてやってんだったら、お尻ペンペンだぞ?」 「えぇーっ!やだぁー!」 雫は俺の手を握る。 そんな姿が、また無邪気で可愛いと思える。 「明後日、またおまえは掃き掃除の仕事があるからな。今度は優司がずっと付いていてくれるから心配するなよ」 「好人は?」 「あのな、いつも一緒だとは限らないんだぞ?仕事はまた普段とは違うんだから」 「ブゥー!」 雫はまた口を尖らせて、少しすねた。 「ほら、寝るぞ」 でも、俺がそう言って手招きすると嬉しいそうに近寄ってきて眠る。 結局は、かまって欲しかったんだな。
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