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「雫、帰るぞ」
「うん」
「お疲れさん、永居!」
バカ息子の遠くから聞こえる声に、俺は当たり前のように完全無視だボケ。
「いいか、雫。さっきの野郎は変態だから気を付けろよ」
「そうなの?会社で二番目に偉い人なんだって教えてもらったよ」
アイツは自分でそう言ってんのか。
クソが付く程、大バカヤローだな。
「二番目に偉くても、アイツはなぁ女の尻や胸が大好きで、いつも事務所に居るんだ。アイツに近寄ると大変な事になるから、これからは絶対無視しろよ。いいな、分かったか?」
「えっ…、分かった」
雫はビク付きながら返事をした。
俺を晒し者にしたからには、どっかでたっぷり嫌な思いで返してやる。
紅葉のシーズンになると、優司がまた提案する。
みんなで紅葉狩りに行こうだとか、バーベキューやろうだとか、温泉に行こうだとか。
本当にイベント好きだよ、男の癖に。
リサも鍋パーティーしようだとか言うし。
「なぁ、雫。これから楽しみ満載だぞ。どうする?」
「私は好人と一緒なら何でもいいもん」
雫と俺は、二人で部屋に居る時はずっとこうして引っ付いたままだ。
後ろから、横から、前からだっていつも互いにバグしあって。
俺からだったり、雫からだったり。
何かもう、俺の方が雫が側に居てくれないとおかしくなるような気がする。
甘えてるのは、以外と俺か?
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