⑱私、ラブラブ

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出来上がったばかりのペンダントを仕事帰りに取りに行き、帰るとすぐさま雫を呼ぶ。 「ただいま。雫、ちょっとおいで」 相変わらず雫は何かを一生懸命書いているみたいで、 「聞こえないのか?」 俺はまた部屋を覗く。 「おまえ、俺の言う言葉にはきちんと返事しろ」 「ご、ごめんなさい」 雫はまた慌ててノートを隠す。 「一つ先に言っとくが、おまえは俺よりアホだから、おまえの分まで俺は脳ミソを働かさなきゃいけない。要するに、おまえの記憶は俺が記憶しているからこそ、おまえの生活が成り立つ。つまりは、おまえは俺に隠し事は一切したらいけないんだ」 「やだぁー!」 「やだじゃない、マジにだ」 俺は、腕組みをして雫を見下す。 「隠し事なんて、すぐ忘れちゃうもんねぇだ」 「だから、隠し事はするな」 俺は更に念を押す。 「やだぁー!やだぁー!」 はいはい、無視無視。 雫は、俺の胸に何度も拳骨で殴る。 「俺の言う通りにするって、雫が言ったんだからな」 「もぉー!もぉー!」 はいはい、知らん知らん。 背中をバシバシと叩かれても、痛くも痒くもない。 「チェッ!…チクショ!胸くそ悪りぃ!」 雫はそんなふうに言うから、笑いが込み上げた。 「おまえが言うと、全然悪意を感じないな。そんな可愛い言い方じゃ、ダメだ」 爆笑して、ギュッと抱き締めてやる。 そして雫が落ち着いた頃合いに、俺はペンダントを雫の首に引っ付けてやった。 「ほにょ?」 「遅くなったけど、俺からの雫への入社祝いだ。と言うより、御守りだ」 「御守り?」 雫は不思議そうに、彫られた文字を指で何度も辿る。 ベッドに腰掛けて、雫を隣に座らせる。 「私の名前は月読 雫。緊急連絡先は永居 好人。俺の携帯番号。電話して下さい。って彫られてるんだ。分かるか?」 雫は横に頭を振る。 「おまえが万が一、独りで道に迷った時に、どっかの親切な人が俺に電話をしてくれるようになってる」 「携帯あるやん」 「おまえさ、携帯ん時に無視るだろ?メールも電話も」 「えへへ☆」 「こら、笑い事じゃねぇぞ。とにかく、このペンダントは身元が分かるようになってるから、いつも首にかけてろ。いいな」 「うん、好人大好き!」 雫は俺に抱き付くから、 「大好きなら、俺の言う通りにしろ」 「するぅー!絶対するぅー!」 さっき、いやだって言った癖に。 調子いいな、全く。 「私、ラブラブだね?」 「ラブラブだ」
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