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どうしたら、包み隠さずにいる裸の俺を受け止めてもらえるのか。
口べたな俺は、うまい事運べないから、色々模索してしまう。
俺は優しくないから。
甘い言葉なんて、らしくないから言えない。
引っ張っていくのも、意外と大変だ。
「好人っ、お疲れーっ!」
雫は作業を終えて、会社に戻って来た。
「さまを付けろって言ってんだろ、さまを!」
「お疲れさま、好人っ♪」
「何べんも言わせんな」
雫は、今日はしっかりとした先輩たちと街路樹の除草作業に同行していた。
「永居、遅くなって悪かったな」
「ご苦労様でした」
「雫ちゃん、頑張ってくれたから助かったよ」
先輩たちは気を使ってなのか、そう俺に言ってくれた。
「とんでもないです」
「じゃあな」
「お疲れ様でした」
俺は頭を下げる。
「バイバイ、先輩☆」
雫は気軽に手を振る。
「うまい事、いってるな」
優司が言う。
「みたいだな」
俺も一安心だ。
こんなにみんなが優しくしてくれるのは、雫の人柄が良いからなのか。
いや、うちの会社の人間たちが優しいからなのかも知れないな。
「帰るぞ、雫」
「おう!」
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