⑲私、消えたい

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家に帰り、のんびり二人でくつろぎの時間を過ごす。 「雫、クリスマスはどうしたい?」 「焼き肉食べたい」 焼き肉じゃなくて、そんなものよりも大切な事があるだろ! 「じゃあ、俺は雫に焼き肉おごるからさ、雫も俺の願い叶えてよ」 「サンタさんに頼んで」 違う! 「サンタじゃなく、おまえに叶えてもらいたいんだよ」 俺はベッドに横になり、何となく甘えて言ってみた。 「お金ないし…」 そうじゃなくて! 「こっち、おいで」 雫は困った顔して寄って来た。 雫の腕を引っ張って、ベッドに引きずり込んでやった。 「ひゃっ!」 「雫にしか叶えられないんだよなって……冗談はここまでで、マジに俺はそろそろ限界なんだけど?」 雫の目ん玉にはクエスチョンマークが写っている。 今でもいいんだけど。 優司が変な事を言うから、何だかもうさっきから身体がおかしい。 「意味分かんないし」 はぐらかされたか?いや、本気で俺がどうしたいのかに気が付いていない。 不自然に身体を押し付け擦り付けるものの…。 「あっちに行く」 「ダメだ」 「いやっ」 「マジに」 「私、ここから消えよっと…バイバイ」 雫は俺をどけて、部屋の隅へと行ってしまった。 しまったな。 また、こんな中途半端なとこで先走ってしまった。 男は処理が大変なんだって、俺も何回こんな事を繰り返してんだよ。 雫のアホ! クリスマスまで待つか。
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