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何度も会社内を見廻り、探しまくるが。
「ちょっと、まずいなぁ」
優司は俺より先に呟く。
リサや事務員たちも探すが、やっぱりどこを探しても居ない。
「居ないわね。自宅には?」
「あんなアホが独りで自宅に戻れる訳ないだろ」
俺は苛立っていた。
携帯電話に何度も着信やメールを入れても無視だ。
優司もリサも、会社の奴らも探し廻ってくれてるのに。
ろくに返事もなく、現れる気配もない。
何のために携帯電話を持たせたと思ってんだ。
すると、社長の息子がやって来た。
「今夜は吹雪くらしいぞ。ホワイトクリスマスだってさ」
ホワイトクリスマス?
なめんじゃねぇぞ、こら!
俺がこんな気持ちでいるに、バカ息子がお気楽な事を言うもんだから、睨み付けてやった。
「雫ちゃんが居なくて、永居くん気が立ってるから。もう少し言葉を慎んでちょうだい」
リサはバカ息子に小声で言うが、バカなんだから、通じねぇよ。
「永居が何かまた無理な要求でもしたんじゃねぇのか?おまえは態度や言葉がキツイんだよ。だから、傷付くんだよ」
バカ息子は笑って言うもんだから、俺は静かにキレた。
「だから何だ?誰にでもそんな態度してると思うなよ」
「じゃあ、人を選んでんのか?性格悪いな。こんなんじゃ、あんな幼げな雫ちゃんは逃げるわな」
「うるせぇな、知った口叩くな。あんま言うと、マジに殴るぜ?俺はいつでも売られた喧嘩は買うからよ」
「なんだと?」
バカ息子は俺の前に立って、威嚇してくる。
俺から逃げる?
そんな訳ないよな、雫。
俺はおまえに無理な要求したか?
言葉も態度も、おまえには人一倍優しくしてただろ?
いつも……。
「もめたら何か解決する訳?みっともないだけよ。いい加減にしなさいって」
リサはバカ息子を無理矢理、引っ張って去って行った。
「心配なのは分かるが、人にあたるな。好人」
優司は俺をなだめる。
「……ムカつくんだよ」
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