⑳、私には何も無い(2)

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「それから、俺の居ない所で勝手に消えたら許さない。おまえは俺が居る限り独りじゃない」 「ずっと?絶対?何処にも行かない?」 「おまえが消える時は、おばあさんになって死ぬ時だ。その時は、俺もすぐ隣で一緒に消えてやるから、心配するな」 雫は真っ直ぐ俺を見つめて、うなずいた。 「…私、今度こそ本当に好きな人と永く居られるんだね…」 「そうだ」 「…嬉しい…嬉しくて涙が止まらない…」 雫は大粒の涙を流していた。 嬉しいという言葉に、俺は本気でおまえを好きになって、おまえを守るんだって決めて、間違いはなかったと確信した。 「おまえの全てを俺にくれるか?」 「うん…」 「俺はおまえに好きよりも、深くて大きな気持ちをあげるよ」 「うん…」 「それはね、愛してる」 「愛してる?」 俺は雫の口唇を大きく塞いだ。 愛してるってのは、どうやって知っていくのか、教えてやる。 俺は部屋の灯りを消して、布団の中に潜り込んだ。 「…あっ…」 雫の声が聞こえる。 好きってのは、言葉で表現して自分の気持ちを伝えるんだ。 愛してるってのは、身体を重ねて自分の気持ちを伝えるんだ。 「…あぁっ…」 俺たちはもう、そういう関係なんだ。 恥ずかしい部分も、違った部分も、全部知っていく関係なんだ。 吸い付くした時のその声も。 舐め廻した時のその表情も。 「雫、愛してる」 新しい雫を発見して、また愛してると俺は感じたい。 「…好人…」 視点の定まらない雫に強く言う。 「雫、俺を見ろ。俺の目を見ろ」 「うん…」 視点が合った瞬間に、そっと挿入させた。 「温かいだろ?もう寒くないぞ」 「…本当だね。好人、温かい…」 もっと、温かくしてやるからな。 ゆっくりと俺は雫を包み込みようにして、動き出した。
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