最終章、好きな人と永く…

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雫はさっきから何度も生唾を飲み込みながら、玉ねぎばかりを食べていた。 困った顔をしたり、笑ったり、何となく今日は落ち着きがない。 「どうした?気分悪いのか?」 「うん。お腹がキモチ悪いの…オエッてなるの」 リサと優司の奥さんは顔を見合わせる。 「雫ちゃん、アレきてる?」 「…ない」 「リサさん、もしかして」 「できたわね」 優司にも何かがよぎったみたいで、 「まさか!」 「この表情は間違いないわ」 「そうね。女の勘は当たるから」 なっ、何が? 「何がまさかだよ。間違いないって、勘ってなんだよ」 俺は、うろたえてしまった。 「何故、そんな目で俺を見るんだ」 「好人くん。中出ししたら、ちゃんと報告しなさいって」 「優ちゃん、生々しい」 優司は俺の肩を揉む。 「はっ?…はぁ?」 「永居くん、雫ちゃん妊娠してるわ。帰ったら、チェックするようにしてあげて」 「はぁ?…はぁっ?」 俺は開いた口が塞がらずにいた。 「…好人、私、どうしたらいい?」 どっ、どうしたらって…。 「そりゃあ、おまえと俺の子なら産むしかないだろ。アホな事を聞くな」 俺は突然の出来事に驚き、戸惑ってしまった。 「照れてる照れてる!」 「照れてない!」 俺は完全に、からかわれてる。 子どもたちは、俺をふざけて囲む。 「顔が赤い赤い!」 「赤くない!」 優司と奥さんは指を差して笑っている。 「写メ写メ!」 「やめやめ!」 リサは腹をかかえて笑っている。 雫はそんな俺を、じっと見つめていた。 雫、何も不安になるなよ。 俺が居るから…。 大丈夫だ…。
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