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俺は雫の手を無理矢理引っ張り、雫の部屋へともう一度向かった。
「好人、痛い…。何故怒ってるの?」
部屋の灯りを付けて、雫をほおり込んだ。
「何するの!」
近くに転がる大きめなカバンに、俺は雫の下着や服を適当に鷲掴みにして、入れ込む。
「後は何が要る…」
「好人?」
立ち尽くす雫に俺は決めた。
「おまえは俺と住む…」
「えっ?」
「今日から俺の家が雫の家だ。いいな?分かったか?」
雫は俺のものすごい表情にビクつきながら、うなずいた。
自分が寂しいとか、そんな気持ちは俺の中では、その時には消えていて。
ただ、雫の存在を否定された事に頭にきていた。
有り得ない。
こんな扱いを、唯一の身内にされるだなんて。
例え記憶に障害があっても、思い出は思い出だ。
確かに、おばあさんは身内からしたらみんなのおばあさんだが。
雫にとっての大切なおばあさんはたった一人しかいないんだ。
それを、こんなふうに雫から奪い取って、しかもその後の雫の面倒はみないだなんて…。
ムカつくにも、程がある!
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