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「もう最終的にはそうなるように決めろ。それが出来ないなら、早いうちに手放したほうがいい」
「手放せるかよ、こんな訳分かんない事を言ってる記憶が曖昧な女。だからって知り合ってまだ一週間しかたってないのに、雫の一生を今俺が決めるだなんて、勘弁してくれよ」
「他人を預かって一緒に住んでいくってのを、好人は少し軽く考えてる。そもそも、それが出来ないから雫ちゃんを預かれないんだろ親戚は。おまえも同じだよ」
「俺とそんな奴ら一緒にすんなよ」
俺は優司を睨み付ける。
「親戚たちは、刻々と施設を探してる。…どうする、好人?おまえが結果、手放し施設に入れるか。親戚が入れるか」
ったく、何て選択を今させるんだよクソッ!
「雫は俺と住むって、俺が決めたんだ。おまえも雫の家に行ったら、どんな思いをするか分かるさ。ただ、ただだぞ?」
「ただ、何だ?」
「恋愛感情は全くない。俺はまだ正直…」
リサが……。
「久我山 リサか?…いい加減にしろよ。あの女はもうとっくに他の誰かのモンなんだから。前に進めよ、好人」
優司はリサが嫌いだから、そう簡単に言うが。
雫は、俺と優司とのやり取りを喧嘩してると思い込み心配そうに服の裾を引っ張った。
「大丈夫だ、喧嘩してるんじゃないから」
「好人、顔が怖い」
「怒ってないから、大丈夫だ…」
優司は俺と雫を見て言った。
「男は弱い女を守るのが本能だ。リサはおまえよりは強い。だから、おまえはリサにフラれた」
うわっ、はっきり言いやがった。
「雫ちゃんを守りたいから、家から連れ出したんだろ?その時点でおまえの責任だ。守ってやれよ。俺も協力するからさ」
俺は何て事をしてしまったんだ。
今更ながら、浅はかだったと後悔をした。
「何の因果かよく分からんが。ありがとうな、優司」
俺もまんまと、乗せられた感じがした。
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