116人が本棚に入れています
本棚に追加
優司が帰った後、雫をベッドへ寝かし付けながら、俺はもう一度自分の言葉で、雫に聞いた。
「なぁ、雫。おまえ、本当に俺と居たいと思ってる?おばあさんとの思い出の家を離れてもいいって思ってる?俺、結構勝手に決めちゃってるけどさ…」
雫も、慣れない優司のテンションに疲れたのか眠そうに俺を覗く。
「私、好人の言う通りにするもん」
「何で?」
「私、すぐ忘れちゃうから」
「そっか…」
そうだな。
忘れてしまうんだったな、おまえは。
雫は目を擦りながら言う。
「ここには、いつも好人居るから寂しくないでしょ?」
「そっか…」
そうなのか。
「私、寂しくない…」
寂しくはないんだな。
隣で寝転ぶ俺に、半分寝かかる状態で雫はそう言ってくれた。
「次の休み、雫の残りの荷物取りに行こうと思ってるんだけど」
「よひとの…ふにゃ…ふにゃ…いい…」
何だか訳分かんない日本語に、チラリと雫を見ると。
口を半開きにして、ほとんど眠った状態でいた。
プッ!(笑)
コイツ、マジにウケる。
分かった、分かった。
好人の言う通りでいいって、言ったんだろ?
はぁ~あ。
同じベッドで毎晩横になってんのに。 こんなに手を出さないでいる俺の理性って凄いよな。
部屋の電気を消して、月明かりの中で雫の寝顔をまたしっかりと見て思う。
おまえも女なんだから、ちったぁ警戒しろよ。
……俺はいつでも、本気で雫がその気になれば、手でも何でも出してやるんだがなぁ。
「お休み、雫」
最初のコメントを投稿しよう!