⑧私、寂しくない

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優司が帰った後、雫をベッドへ寝かし付けながら、俺はもう一度自分の言葉で、雫に聞いた。 「なぁ、雫。おまえ、本当に俺と居たいと思ってる?おばあさんとの思い出の家を離れてもいいって思ってる?俺、結構勝手に決めちゃってるけどさ…」 雫も、慣れない優司のテンションに疲れたのか眠そうに俺を覗く。 「私、好人の言う通りにするもん」 「何で?」 「私、すぐ忘れちゃうから」 「そっか…」 そうだな。 忘れてしまうんだったな、おまえは。 雫は目を擦りながら言う。 「ここには、いつも好人居るから寂しくないでしょ?」 「そっか…」 そうなのか。 「私、寂しくない…」 寂しくはないんだな。 隣で寝転ぶ俺に、半分寝かかる状態で雫はそう言ってくれた。 「次の休み、雫の残りの荷物取りに行こうと思ってるんだけど」 「よひとの…ふにゃ…ふにゃ…いい…」 何だか訳分かんない日本語に、チラリと雫を見ると。 口を半開きにして、ほとんど眠った状態でいた。 プッ!(笑) コイツ、マジにウケる。 分かった、分かった。 好人の言う通りでいいって、言ったんだろ? はぁ~あ。 同じベッドで毎晩横になってんのに。 こんなに手を出さないでいる俺の理性って凄いよな。 部屋の電気を消して、月明かりの中で雫の寝顔をまたしっかりと見て思う。 おまえも女なんだから、ちったぁ警戒しろよ。 ……俺はいつでも、本気で雫がその気になれば、手でも何でも出してやるんだがなぁ。 「お休み、雫」
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