⑧私、寂しくない

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「俺が電話で話をするよ」 「一体何を話すんだ?」 俺は戸惑った。 とんでもない事になりそうだと。 「雫ちゃんの事だよ」 「そんな急に…」 「もう躊躇うなよ。雫ちゃんは好人と居る事を望んでるんだから」 「それは、そうでも…」 「こんな事する親戚が、今度はどんな施設に入れるか分からない。おまえだって、そう思うだろ?」 「そりゃ、まぁ…」 「雫ちゃんは俺らと同じだ。同じ分だけ幸せだってあるんだよ?身内を簡単に見捨てるような人間に雫ちゃんの人生を決めさせたくない」 確かに。 「雫の携帯電話に親戚のおじさんって人の自宅番号が入ってる」 優司はさっそく雫の元へ行き、携帯電話を借りてきて、別室で電話をかけようとする。 「もう、かけるのか?」 「当たり前だ、話は早く終わらせた方がいい。日曜日くらいは居るだろ?ちなみに、好人が話すと角が立つから、こういう時こそ俺の出番ってやつよ」 角が立つか。 当たり前じゃねぇか。 こんな鬼畜みたいな事してる奴ら、キレるに決まってんだろ。 イヤミは俺の得意だからな。 イヤミどころか、喧嘩吹っ掛ける勢いで、俺なら言うけど。 「任せるよ」 「好人の大好きなイヤミもきちんと取り入れてやるよ、任せとけ」 さすが、俺の事を分かっているな。 たっぷり言ってやれ。 優司は自宅番号に電話をして、テブラ機能のボタンを押す。 中々でない。 そして、 「はい、月読です」 「あの、初めてまして永居と申しますが雫さんの事で、お電話掛けさせて頂きました。失礼ですが、雫さんの叔父様でしょうか?」 「えぇ、そうですが」 「実は僕、雫さんとは以前から結婚を前提にお付き合いをしていまして、ご存知でしたでしょうか?」 おい、いきなりそこかよ。 なんて嘘っぱち。
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