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リサの口から雫の名前が出た時に、俺はもうリサとは本当の本当に終わって、それぞれの想う相手がいるのだと感じた。
何だろう。
それでも俺は分かっていながらも、もがきたいのか。
「そうだな。雫には俺しか居ないもんな…」
強がり半分、気が付いて欲しさ半分。
「彼女を大切にしてあげて。私はそのためなら、協力するから。いつでも頼って」
「彼女か…。雫みたいなのが、俺の彼女ねぇ…。ありがとよ」
そう言うしかない。
そう言って、今の頭の中にある雫の存在を認めるしかなかった。
俺は、弁当を買って家に帰る。
退屈だったのか、すぐに駆け寄ってくる雫の頭を撫でながら、部屋へと入る。
シャワーを浴びて戻って、二人で弁当を食べる。
何だか会話はお互い一方通行で、なのに話は弾む。
まとまりないのに、雫も俺も意味分からないまま笑ってる。
雫が入浴中に、俺は食事の片付けや明日の準備をしたりして、ホッと独りのわずかな時間を過ごす。
横になって、ゆっくりして落ち着いた時に話そう。
アルバイトの話。
アイツ、本気でやる気あんのかなぁ。
俺はどっちでもいい。
ただ、どうせ忘れてしまう記憶ならば。
楽しい時間を過ごした方が絶対いい。
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