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雫はやっぱり今夜も、目が冴えていた。
落ち着きなく、ゴソゴソと動く。
「なぁ、雫。前に草むしりの話しただろ?覚えてる?」
「覚えてない」
「……だろうな。草むしりって、どんな事するか知ってるか?」
「知ってるよ。草をむしるんでしょ?」
うわっ、そのままだ。
ベッドで横になる雫の隣に、俺はいつも通り何の違和感もなく横になり、頬杖をついて雫を見つめる。
「雫、草むしりやってみない?」
「うん♪」
分かってんのかな、コイツ。
「俺の会社で、俺と一緒に」
「うん、やるぅー!好人と一緒に草むしりやるぅ!」
雫は嬉しそうに、ベッドの上ではしゃぐ。
「よし、じゃあ明日話つけとく。最初に言っとくが、草むしりは体力使うからな。結構重労働だぞ、いいか?」
「うん。私、草むしりでいい☆」
雫は、満面の笑顔で俺を覗いて見るから。
バーカ。
でも、今一瞬ドキッとした。
「もう目を閉じて、寝るぞ」
「はーい☆」
俺は部屋の電気を強制的に切った。
そのドキッとしたのを隠したい理由もあったから。
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