⑩私、草むしりでいい

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雫はやっぱり今夜も、目が冴えていた。 落ち着きなく、ゴソゴソと動く。 「なぁ、雫。前に草むしりの話しただろ?覚えてる?」 「覚えてない」 「……だろうな。草むしりって、どんな事するか知ってるか?」 「知ってるよ。草をむしるんでしょ?」 うわっ、そのままだ。 ベッドで横になる雫の隣に、俺はいつも通り何の違和感もなく横になり、頬杖をついて雫を見つめる。 「雫、草むしりやってみない?」 「うん♪」 分かってんのかな、コイツ。 「俺の会社で、俺と一緒に」 「うん、やるぅー!好人と一緒に草むしりやるぅ!」 雫は嬉しそうに、ベッドの上ではしゃぐ。 「よし、じゃあ明日話つけとく。最初に言っとくが、草むしりは体力使うからな。結構重労働だぞ、いいか?」 「うん。私、草むしりでいい☆」 雫は、満面の笑顔で俺を覗いて見るから。 バーカ。 でも、今一瞬ドキッとした。 「もう目を閉じて、寝るぞ」 「はーい☆」 俺は部屋の電気を強制的に切った。 そのドキッとしたのを隠したい理由もあったから。
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