⑪私、かまって欲しい

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「雫…」 俺は雫の腰の辺りに手をやって、グッと自分に密着させた。 「何?好人…」 男ってのは、何だなぁ。 すぐ、そこに到達してしまうから。 その目的のためなら、どんだけでも優しくしてやろうと思ってしまう。 「雫…」 俺は雫の頬に頬擦りをしながら、シャツの中に手を入れる。 「好人?あの…」 雫の言葉なんて、無視だ。 こめかみに俺は顔を埋めるように、軽いキスを何度も落として、ブラのホックを片手で外した。 やっぱり、男と女は結局こうなるんだよ。 愛だとか何だとかは、あってもなくても。 だって、身体が我慢できねぇもん。 俺は雫の短パンをズリ下げようとした時。 「好人っ、おかしい。好人が寝るぞって言ったから、私は目を閉じたのに。嘘つき!私にはそう言って、自分は起きてる。そんなの、おかしい!」 「あぁっ?…」 俺は雫のその場に不釣り合いな言葉で、撫で回していた手を止めて、眉間にシワを寄せて睨み付けた。 てめぇ…、マジに今の今、そんな事を抜かすのか? 「おまえ、状況よめてないだろ?はっきり言わないと分からないか?」 「寝てるかどうかの確認して、寝ろって好人が言ったんだもん!」 ウゲッ……。 そう言えば、そう言ったな俺は。 「……そうだそうだ、そうだった、確かに俺はそう言った、分かったよ、全く!」 クソッ、どうでもいい事は忘れてないなんて。 雫を抱くという衝動は、無惨にも自分の吐いた言葉で消え去った。 深い溜め息を付く。 はぁ~あ! 「寝るぞ、好人っ☆」 雫は俺の口振りで、マネして言うから。 「うるせぇ、マネすんなボケッ」 「えへへ☆」 ふて腐れて、そっぽ向いて俺は目を閉じた。 どうすんだよ。 俺の悶々たる気持ちは落ち着いても、身体に表れた衝動は、しばらく治まらんぞ。 落ち着け……俺。
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