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「雫…」
俺は雫の腰の辺りに手をやって、グッと自分に密着させた。
「何?好人…」
男ってのは、何だなぁ。
すぐ、そこに到達してしまうから。
その目的のためなら、どんだけでも優しくしてやろうと思ってしまう。
「雫…」
俺は雫の頬に頬擦りをしながら、シャツの中に手を入れる。
「好人?あの…」
雫の言葉なんて、無視だ。
こめかみに俺は顔を埋めるように、軽いキスを何度も落として、ブラのホックを片手で外した。
やっぱり、男と女は結局こうなるんだよ。
愛だとか何だとかは、あってもなくても。
だって、身体が我慢できねぇもん。
俺は雫の短パンをズリ下げようとした時。
「好人っ、おかしい。好人が寝るぞって言ったから、私は目を閉じたのに。嘘つき!私にはそう言って、自分は起きてる。そんなの、おかしい!」
「あぁっ?…」
俺は雫のその場に不釣り合いな言葉で、撫で回していた手を止めて、眉間にシワを寄せて睨み付けた。
てめぇ…、マジに今の今、そんな事を抜かすのか?
「おまえ、状況よめてないだろ?はっきり言わないと分からないか?」
「寝てるかどうかの確認して、寝ろって好人が言ったんだもん!」
ウゲッ……。
そう言えば、そう言ったな俺は。
「……そうだそうだ、そうだった、確かに俺はそう言った、分かったよ、全く!」
クソッ、どうでもいい事は忘れてないなんて。
雫を抱くという衝動は、無惨にも自分の吐いた言葉で消え去った。
深い溜め息を付く。
はぁ~あ!
「寝るぞ、好人っ☆」
雫は俺の口振りで、マネして言うから。
「うるせぇ、マネすんなボケッ」
「えへへ☆」
ふて腐れて、そっぽ向いて俺は目を閉じた。
どうすんだよ。
俺の悶々たる気持ちは落ち着いても、身体に表れた衝動は、しばらく治まらんぞ。
落ち着け……俺。
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