⑪私、かまって欲しい

4/7

116人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
しかし朝が来ると、俺はしっかり雫をタオルケット代わりに、巻き付いて寝てるのに気が付く。 ……あぁ、キモチよかった。 雫も目を擦りながら起きる。 「よひと…おはよっ」 「まだ眠いなら寝てろ」 「う~うん、もう起きるぅ」 「雫、草むしりのアルバイトの話し進めるけど、いいな?」 もう、忘れてるよな。 そんな顔してるって事は。 「草むしり?アルバイト?」 「そう、俺と同じ会社でアルバイトやるの」 「うん、やるやる」 また同じ説明してやったんだから、嫌だとかもし突然言い出したら、必ず次は犯す。 支度を済ませて、 「夕方には帰る。今夜は買い出しに行きたいからさ」 「うん、分かったー!」 雫は嬉しそうに玄関先まで付いてきた。 俺は靴を履いて、 「分かったって、どうせ俺が帰ってくるまでには忘れるんだろ?」 「そんな事ないよ」 ……どうだかな。 でも、雫の元気な笑顔に。 「じゃあ、行ってきます」 「はーい☆行ってらっしゃーい!」 俺は玄関の扉を閉めて、しっかりと鍵を閉めた。 雫、昨夜のおまえのせいで俺の身体はおかしくなりそうだったんだ。 チクショ、何かモヤモヤする。 草むしりのアルバイトで採用されたら、絶対こき使ってやる。 疲れさせて、次は絶対最後までやる。 いい年した大人同士が、何高校生みたくモジモジしてんのかねぇ。 雫を俺だけのモノにしたい。 セックスする事で、俺様のモノになる。 って、男は何故だかそう思ってしまうから、すぐに手を出しちゃうんだろうな。 あぁ、優司みたいでやだ。 俺は獣か……? 会社に着くと、その優司がやって来た。 「やあやあ、おはよう、好人くん!」 今日も一段と軽いな、コイツ。 「おはよ。そう言えば雫の草むしりの話、リサにしてくれたみたいでサンキューな」 俺は必要以上に話したりしないから。 「いや、対した事はない。久我山リサに、好人にはもう大切に思う子が居るんだよ!と遠回しで言っておきたかったんだよ」 「あぁ、そう。苦手な相手に良く頼んだもんだと感心してたんだが。実はイヤミが言いたかっただけとは」 「ワンクッションでもツークッションでもなきゃ、好人はストレート過ぎるからさ」 はいはい、どうせ俺は性格キツイですよ。 「うまくやるためには、使えるモンは使わなきゃ」 確かにそうだな。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加