⑪私、かまって欲しい

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昼からの剪定作業を終えて、会社に戻って事務所に会社の車の鍵を返すのに、近くに居たリサが言った。 「面接の日、決まったわ」 「えっ、もう?」 「来週の木曜日の10時から、大丈夫?」 「分かった」 「履歴書持参ね」 「おう」 まさか、雫の事でこんなにリサと1日何回も会話できるなんて。 「私が付き添うし、とにかく余計な質問はさせないから。絶対採用させるから」 「分かってるよ。リサは何でもこなせる事は、俺が一番知ってるから」 知ったかぶり。 でもそれは、 俺のため? 雫のため? いや、どっちだっていい。 リサに優しくされて、俺は過去の彼氏として自信過剰気味。 「おだてても、私から好人に特別なものは何も出ないわよ」 特別なものか。 「…ないの?」 リサは、俺の視線を冷たく逸らして言った。 「早く帰って、雫ちゃんに報告してあげなさい」 学校の先生みたいな事を言われて、何も手応えがない事を、虚しく思い知る。 「はいはい、お疲れ様でした」 俺は雫の待つ家へと、さっさ帰る事にした。 リサと話すと、未練は多少なりとも、女々しくある。 雫には、恋愛的感情はまだないけれど。 何か、自分の欲求を押し付けたい、早く自分のモノだけにしたい。 今はそればっかりだ。
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