116人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
面接の前日。
近くのコンビニで履歴書を買って、それに貼る写真もついでに撮って、
「好人も写る?」
「これは、独りで撮るもんだからダメ」
「プリ、プリ…」
「プリクラじゃないし、笑って撮ったら失敗だからな」
「分かった。真面目にね?」
「そう、真面目に」
でも、撮った写真が気になって出来上がりを俺は、マジマジとチェックする。
「いい感じ?」
「まぁまぁだな」
雫は頭を傾げていた。
俺は簡単には誉めたりしないからな。
厳しいぞ、仕事中の俺は。
一緒に現場行ったら、ビシバシ教えてやる。
そして、もう一回写真を見る。
チクショ……可愛い。
「好人、アイス食べたい」
「はいはい」
そして家に着いて、机の上を片付けて履歴書を拡げる。
「いいか、これが履歴書って言って。とにかく働く前に面接をする時に必ずいるもんだ」
俺は雫の隣に座って、指を差す。
「大切な紙だから、失敗は許されない。間違ったままで持っていくと、バカだと思われるから、ちゃんと書けよ」
「うんうん」
「まずは名前、書いてみろ」
「ひらがなも?」
「そうだ。その下の学歴は長いから俺が書いてやる。住所と連絡先はこれを書け」
と、ここの住所と俺の携帯番号を書かせる。
「裏面も俺が書くからいい。ハンコあったか?」
「あるよ」
「ハンコ押すのは、大切な紙って覚えておけ。分かったか?」
「うん、分かった」
ハンコを受け取り名前の欄に押す。
雫は、更に俺に密着して覗き込む。
ヤバい……。
俺の腕に、柔らかい胸があたる。
「好人、写真貼る?」
また、そんな表情で俺を見るなっての。
変な気持ちになる。
最初のコメントを投稿しよう!