⑬私、面接する

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記憶が曖昧なだけだろ? すぐ、忘れちゃうだけなんだろ? 俺はちゃんと、そのつど記憶してる。 記憶されて残るものが、溜まりに溜まって、俺はおかしくなりそうなんだよ。 「おまえは女の子で、俺は男だ」 「うん、それぐらいは知ってるよ?」 「身体の作りが違うのは、分かるよな」 「えへへ☆」 俺は強くまた抱き締めた。 先の事なんて、今語ってしまったら。 知ったかぶりでキザでカッコ悪いから、言いたくない。 かと言って、過去の昔話も今は必要ない。 今の今が俺の中では大切にしたくて。 今のこの高ぶる身体を何とかしたくて。 「男って、感じたもの全てが身体に、表れちゃうんだよ」 「そうなの?全然知らなかった」 「だから、エッチして普通に戻すんだ」 俺は何だか保健の先生みたいな事を、言ってるよな。 「好きだからエッチするんじゃないの?後は遊びでする人もいるんだよね?」 「もちろん好きだから、エッチするんだけど…」 好きだから、なんて正直今の俺は二の次で。 恋愛感情は差し置いて、俺の性欲がやたらと前へ前へと進むから、苦しくて溜まらないんだ。 痛いんだよ。 「……好人、もしかしてエッチしたいの?」 「……まぁ、おまえが俺の隣に一生居る限りは、その…そういう…」 雫は俺の胸に手を添えた。 「私の気持ちと好人の気持ちが同じか、確認していい?」 はっ? 雫は体重をかけて、身を乗り出すように俺にキスをした。 おいおい、ちょっと……。 俺はキスがしたいんじゃなくて……。 どうしたんだ、こいつ。 まるで、俺のが襲われてる。
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