⑭私、ご褒美もらえるの?

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優司は何か俺から聞き出したくて、何度も雫の話を出すのだか。 俺は一切、何も言わなかった。 当たり前だ。 キスまでして、その先を何度も躓いているだなんて言える訳ないっての。 日々悶々としてるだなんて、絶対誰にも恥ずかしくて言えない。 それよりも。 「おまえ、いつからリサと仲良くなったんだ」 「リサ様を、俺は何だか誤解していた。でも、直接雫ちゃんの事で話をした時に、自分の利益や評価、損得で動く人間じゃないんだと分かったんだ」 優司はポットに入った花の苗を、眺めながら続けて言った。 「障害はなくとも、人に偏見は良くないって言い切っといて、自分が偏見であの女を見てたらダメだもんな」 「まぁ、そうだな。俺からしたら、おまえもリサも、周りを上手に使って動かせるから似た者同士に見えるけど」 「好人ももう少し素直で明るく優しけりゃ、みんな楽しく自分に付いてくるのに。おまえは短所を表面に出し過ぎて、長所を引っ込め過ぎだから、善い面を知るのに時間と手間がかかる」 また、俺を語っている。 俺はわざと優司に土を引っかけた。 「うるせぇ、うるせぇ。善い奴なんぞ、クソ喰らえ」 俺は花の苗を植替える。 「可愛い小さな花をそうやって丁寧に扱うように、好人も雫ちゃんに人一倍優しく丁寧にしてやらなきゃいかんぞ」 俺は優司を真っ直ぐ睨み付けた。 言われなくても俺なりにしてる。 だから、今一歩のとこで中断する。 何がって……その何がだが。 「で、やったのか?ついに、やったのか?」 「しつけぇぞ、早く植替え進めろよバカッ!」 優司はお喋りだから、ちっとも作業が進まない。 早くこれを終えて、俺は雫と昼飯が食べたいんだ。 面接、うまくいってるといいな。 早く会社に戻りたい。
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