⑭私、ご褒美もらえるの?

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会社に戻ると、リサと雫は楽しそうに話をしていた。 「おかえりなさーい」 雫は笑顔で手を振るから、何かちょっとホッとした。 「ねぇ、みんなで昼御飯どっか食べに行かない?」 リサは俺と優司に言う。 「いいねぇ♪」 もちろん優司は乗り気だが、俺は出来れば雫と二人で食べたかった。 「面接はどうだったんだ?」 と、聞いたのは俺より先に優司だった。 だからぁ、何でおまえが俺よりも! 「バッチリ☆雫ちゃん可愛いし元気だから社長好みで、気に入って下さってたわ。もう、すぐにでも働けるわよ」 「エロいからな、アイツ」 「永居くん、ちゃんと社長って言わなきゃダメよ」 「はいはい」 怒られた、かっこ悪りぃな。 「好人っ♪」 雫は俺の手を握り、上目遣い。 「ちゃんと緊張したよ」 ……もしかして今朝の? 何だよ、覚えてるんじゃねぇか。 「お疲れさん」 本当は頭を撫でてやりたいけれど、みんなの手前、勘弁な。 ご褒美は二人の時に。 俺たち四人は、近くの定食屋へと乗り込んだ。 まさか、こんな四人でここに来る事になるなんて思いもしなかった。 嬉しそうに雫は俺の隣で食べまくる。 優司は楽しそうに喋りまくる。 リサは、あれやこれやと世話をやきまくる。 俺はただ、黙って冷静に食事をする。 「今度さ、好人の家で雫ちゃんの歓迎会しようよ」 「それ、いいわね。私、何か作るわ」 「……おい」 おまえら、勝手にまた。 「私も玉子焼き作るぅ~♪」 雫までもが、俺を無視して盛り上がる。 「雫ちゃん玉子焼き作れるなんて、凄いねぇ」 「玉子ね好きだもん。好人に似てるからもっと大好きィ~♪」 「……はぁ~あ」 俺は呆れ笑いで、溜め息をつく。 「似てる似てる!」 「確かに似てる!」 リサと優司は楽しげに笑い合う。 雫のためにか。 いや、雫のおかげで優司のリサへ対するわだかまりが溶けた。 「好人っ♪…楽しいね」 俺は隙を見て、言った。 「家に着いたら、ご褒美やるよ」 「えっ?」 俺は口元に人差し指を立てて、 「シーッ!…みんなには秘密だぞ」 そう言うと雫は、深くうなずいた。
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