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会社に戻ると、リサと雫は楽しそうに話をしていた。
「おかえりなさーい」
雫は笑顔で手を振るから、何かちょっとホッとした。
「ねぇ、みんなで昼御飯どっか食べに行かない?」
リサは俺と優司に言う。
「いいねぇ♪」
もちろん優司は乗り気だが、俺は出来れば雫と二人で食べたかった。
「面接はどうだったんだ?」
と、聞いたのは俺より先に優司だった。
だからぁ、何でおまえが俺よりも!
「バッチリ☆雫ちゃん可愛いし元気だから社長好みで、気に入って下さってたわ。もう、すぐにでも働けるわよ」
「エロいからな、アイツ」
「永居くん、ちゃんと社長って言わなきゃダメよ」
「はいはい」
怒られた、かっこ悪りぃな。
「好人っ♪」
雫は俺の手を握り、上目遣い。
「ちゃんと緊張したよ」
……もしかして今朝の?
何だよ、覚えてるんじゃねぇか。
「お疲れさん」
本当は頭を撫でてやりたいけれど、みんなの手前、勘弁な。
ご褒美は二人の時に。
俺たち四人は、近くの定食屋へと乗り込んだ。
まさか、こんな四人でここに来る事になるなんて思いもしなかった。
嬉しそうに雫は俺の隣で食べまくる。
優司は楽しそうに喋りまくる。
リサは、あれやこれやと世話をやきまくる。
俺はただ、黙って冷静に食事をする。
「今度さ、好人の家で雫ちゃんの歓迎会しようよ」
「それ、いいわね。私、何か作るわ」
「……おい」
おまえら、勝手にまた。
「私も玉子焼き作るぅ~♪」
雫までもが、俺を無視して盛り上がる。
「雫ちゃん玉子焼き作れるなんて、凄いねぇ」
「玉子ね好きだもん。好人に似てるからもっと大好きィ~♪」
「……はぁ~あ」
俺は呆れ笑いで、溜め息をつく。
「似てる似てる!」
「確かに似てる!」
リサと優司は楽しげに笑い合う。
雫のためにか。
いや、雫のおかげで優司のリサへ対するわだかまりが溶けた。
「好人っ♪…楽しいね」
俺は隙を見て、言った。
「家に着いたら、ご褒美やるよ」
「えっ?」
俺は口元に人差し指を立てて、
「シーッ!…みんなには秘密だぞ」
そう言うと雫は、深くうなずいた。
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