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雫の面接日と言う事もあり、今日は早めに仕事を切り上げさせてもらった。
「じゃあ、帰るわ」
「バイバイ、みんな」
雫は何度も振り返りながら、優司とリサに手を振る。
「おまえは、明後日が入社日だからな」
「うん」
「俺が覚えてるから大丈夫だ」
「うんうん♪」
車に乗り込み、とっとと帰る。
「ねぇ、ご褒美って何?」
運転する俺のシャツを雫は引っ張る。
「さぁ、何かな」
「何、何ィ???」
「家に着いたらな」
「えぇ~!やだぁ」
雫へのご褒美というより、俺のご褒美みたいなもんだな。
日中なら、下も隣近所も留守で居ねぇから。
思いっきり物音立てても気にしなくていい。
ソワソワするな、チクショ!
そして、家に着いて玄関を閉めた。
その瞬間に俺は思いっきり雫を抱き締めてやる!
って、おい!
おい!おい!おいっ!
雫は慌ててトイレに駆け込んだ。
「おっ、おしっこ漏れるぅー!」
……何なんだよ。
この俺がこんな高ぶってるのに、頼むよ。
雫はトイレから出てきて、コケ丸に水をあげていた。
「雫…」
俺は後ろから抱き締めた。
「今日は疲れたろ、シャワー浴びてサッパリしてこいよ」
「えっ?まだ、いいよ」
いいよ、じゃねぇよ。
「浴びてこい」
俺は眉間にシワを寄せてマジに言った。
「わ、分かった」
雫はビビッて慌ててシャワーを浴びに行った。
アイツが出た後、俺もシャワーを浴びる。
何故だか念入りに身体を洗う。
絶対今日こそは、雫を最後まで抱いてやる。
ジラされてる訳じゃないが、こんなにタイミング悪く、時間をかけた事は自慢じゃないが一度もない。
俺は自分で言うのも、おこがましいが結構モテる方なんでねぇ。
優司みたく露骨にそれを売りには、していないものの。
この先もずっと一緒に居るんだから、中身ばっかり知り得ても、うまくはやっていけない。
そんなガキや友達との仲とは違うんだ。
全てを知らなきゃいけない。
俺と雫は、そういう仲でこれから暮らしていくんだから。
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