⑭私、ご褒美もらえるの?

5/8

116人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
俺はシャワーを浴び終えて、雫の待つ部屋に戻る。 寝てんじゃねぇぞ、頼むから。 「好人♪今ね、コケ丸と対話してたの」 俺はコケ丸を元の位置に戻した。 そしてベッドへ腰掛けて、 「雫、おいで」 寄って来る雫の腕を、引っ張り抱き締めた。 「今日は面接よく頑張ったな。リサも優司もおまえがアルバイト出来るように、取り計らってくれたんだから、次はちゃんとお礼言おうな」 「うん♪」 「何聞かれたか覚えてるか?」 「草とか葉っぱとか花とか好き?って聞かれたから、好きですって答えたよ」 「他には?」 雫の家族間の話をされたんじゃないかと、気になっていた。 「公園とかお庭とかの話。お手入れする人が居て、草も花も人間も喜ぶんだって社長が言ってた」 おまえも、「さん」を付けずに呼び捨てで言うとは。 「重要で大切なお仕事」 「そうだ、そういう遣り甲斐の有る仕事だから、アルバイト頑張ろうな」 「うん♪」 俺は雫の髪を何度も撫でる。 自分でも分かる、いつもよりキモい程優しく接しているのが。 自分の目的のためか。 雫への頑張ったご褒美のためか。 今なら違うな、どれも。 「なぁ、雫。ちょっと確認のキスしてもいいか?」 「いいよ」 俺は雫に軽くキスをした。 「何確認したの?」 「いまいち、雫の気持ちが分かんなかったなぁ」 俺はわざと、分からないフリをした。 「えっ、うそぉ?」 雫は困った顔をして、 「わ、私も確認のキスしていい?」 俺の肩に手を回した。 ……ほら、きたきた。 俺はそのまま雫を抱き締め、後ろに倒れた。 「どうだった?」 雫ってば、必死な顔してんな。 おもしれぇ。 「んーっ、もしかして俺の事、好き?」 「好きだよ。好人が好き」 そう、おまえの口からはっきり言わせたかった。 「おまえが俺を好きでも、俺の気持ちは分からないだろ?知りたくないか?」 「知りたい」 「知りたい時はどうすんだっけ。覚えてるか?」 俺って悪魔だな。 「メモしたから覚えてるよ」 メモしたんかよ。 雫はそっとキスをして、俺が口を開いた途端に舌を絡ませた。 そうそう、そんな感じだ。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加