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俺はシャワーを浴び終えて、雫の待つ部屋に戻る。
寝てんじゃねぇぞ、頼むから。
「好人♪今ね、コケ丸と対話してたの」
俺はコケ丸を元の位置に戻した。
そしてベッドへ腰掛けて、
「雫、おいで」
寄って来る雫の腕を、引っ張り抱き締めた。
「今日は面接よく頑張ったな。リサも優司もおまえがアルバイト出来るように、取り計らってくれたんだから、次はちゃんとお礼言おうな」
「うん♪」
「何聞かれたか覚えてるか?」
「草とか葉っぱとか花とか好き?って聞かれたから、好きですって答えたよ」
「他には?」
雫の家族間の話をされたんじゃないかと、気になっていた。
「公園とかお庭とかの話。お手入れする人が居て、草も花も人間も喜ぶんだって社長が言ってた」
おまえも、「さん」を付けずに呼び捨てで言うとは。
「重要で大切なお仕事」
「そうだ、そういう遣り甲斐の有る仕事だから、アルバイト頑張ろうな」
「うん♪」
俺は雫の髪を何度も撫でる。
自分でも分かる、いつもよりキモい程優しく接しているのが。
自分の目的のためか。
雫への頑張ったご褒美のためか。
今なら違うな、どれも。
「なぁ、雫。ちょっと確認のキスしてもいいか?」
「いいよ」
俺は雫に軽くキスをした。
「何確認したの?」
「いまいち、雫の気持ちが分かんなかったなぁ」
俺はわざと、分からないフリをした。
「えっ、うそぉ?」
雫は困った顔をして、
「わ、私も確認のキスしていい?」
俺の肩に手を回した。
……ほら、きたきた。
俺はそのまま雫を抱き締め、後ろに倒れた。
「どうだった?」
雫ってば、必死な顔してんな。
おもしれぇ。
「んーっ、もしかして俺の事、好き?」
「好きだよ。好人が好き」
そう、おまえの口からはっきり言わせたかった。
「おまえが俺を好きでも、俺の気持ちは分からないだろ?知りたくないか?」
「知りたい」
「知りたい時はどうすんだっけ。覚えてるか?」
俺って悪魔だな。
「メモしたから覚えてるよ」
メモしたんかよ。
雫はそっとキスをして、俺が口を開いた途端に舌を絡ませた。
そうそう、そんな感じだ。
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