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雫は自分が怒られたのかと思って、赤ん坊のようにワンワン泣く。
「ふぇぇ~ん!…ふぇっ、ふぇっ…ふぇぇ~ん!…怖いぃー!ごめんなさーい!ふぇぇ~ん!」
「違う違う、おまえに怒ってるんじゃないからな」
パンツ一枚の俺は、慌てて雫を抱き締めた。
「雫は悪くない、だから泣くな泣くな」
もの凄い声で泣くもんだから、違う意味で、誰も居ない日中でよかった。
「顔が鬼みたいに怖いもん、すぐ好人、怒ったように言うもん…」
だから、元からだって。
ゆで玉子の次は、鬼かよ。
「それは周りが悪いんだよ。雫のせいでも俺のせいでもない。……よしよし」
髪を何度も撫でてみるが泣き止まない。
仕方ないから、キスをした。
「なっ?泣くな。俺はおまえが好きなんだから大丈夫だ」
「……うん、分かったぁ」
雫は素肌の俺の胸の中で、小さく丸まって、鼻をすする。
上も下も中途半端な格好の雫と、パンツ一枚の俺。
結局、今回も未遂で終わった。
俺は頭をかかえた。
……そりゃあねぇ、萎えるって。
……どこもかしこも。
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